
空き家率マップで空き家の利活用促進を!
こんにちは!
Mapbox Japanでインターンをしている神田洋輔と申します。
この記事では、ミニプロジェクトで作成したマップを紹介します!
今回のミニプロジェクトでは、一都三県(東京・埼玉・千葉・神奈川)の空き家率を市区町村単位で可視化した『一都三県空き家率マップ』を作成しました。
具体的には、国が5年ごとに全住民に調査する国勢調査から市区町村別に5年間の空き家率を算出して、平成10年から平成30年までの推移をMapboxのマップ上で追えるようにしています。
完成した「一都三県空き家率マップ」のスタイルURLはこちら
スタイルをご自身のMapboxアカウントにコピーすればどなたでもお使いいただけます。
なぜ、空き家率を可視化したマップを作ろうと思ったのか?
・日本では社会問題として、少子高齢化と人口減少といった要因によって急速に増加する「空き家問題」がある
・野村総合研究所が2018年6月に発表したレポートによると、日本の空き家率は過去10年間に渡って増加し続けており、2033年には国内の空き家率は現在の2倍弱の約27.5%になる可能性がある
▲野村総合研究所のレポートより
一般住宅の4戸に1戸が空き家ということは、自宅の両隣とお向かいのうち最低1軒は空き家、近隣の住宅街も空き家だらけという状況が現実になる可能性があります。
以上の問題をマップのユーザーにより身近に感じてもらうこと、現状を把握することで、空き家の有効活用につながり社会課題解決への貢献になるのではないかといった想いからこのマップの作成に取り組みました!
『空き家率マップ』のゴール
完成イメージとしてはMapboxの地図上で作成された、日本経済新聞社のふるさとクリック地図で見る人口を目指しました。こちらのふるさとクリックは地図で見るふるさと納税額や地図で見るごみ排出量などいくつかシリーズがあるものになっていて、いずれもデータの大小によって市区町村ごとに色分けされており、日本全国の地図をクリックするだけで数値とグラフを見ることができる仕様になっています。
これらのマップと同じように各市区町村の境界線データに数値を落とし込んで色分けし、クリックすると空き家率を%表示でき、その下にグラフを表示するというデザインを目標としました。
▲(日経新聞社の「ふるさとクリック」)
大まかな工程
1.国が5年ごとに全住民に調査する国勢調査(住宅・土地統計調査)から市区 町村別に5年ごとの空き家率を算出して、平成10年から平成30年までのデータをCSV形式でスプレッドシートにまとめる
2.境界線データとCSVデータを結合
3.データのStudioへの取り込み
4.Mapbox Studioでマップ&UIデザイン(配色・どのデータ範囲でどの色を表示するのか)
マップ作成にあたり苦労した点
各年ごとに住宅・土地統計調査をもとにして市区町村レベルの空き家率を割り出す作業はとても時間がかかるもので、大変苦労しました。当初は全国版でのデータ集めを予定していたのですが、市区町村の統合などで無くなった市区町村なども多くあったため、スプレッドシート上にまとめる作業に労力がかかりすぎてしまっていました。
▲各市区町村の空き家等をまとめたCSVファイル
CSVデータと境界線データを結合したデータをMapbox Studio上でデザイン
空き家率データの可視化の手法には、ポリゴンの塗りつぶしである「Choropleth」を使用しました。
マップ&UIデザインは、ベースマップの調整よりも、どのデータ範囲でどの色を使用するのかという点にこだわりました。カラーパレットには、「Arid」を使用し、5つのカラーはそれぞれの市区町村の空き家率に基づいて、
(1)10%未満
(2) 10%以上15%未満
(3) 15%以上20%未満
(4) 20%以上25%未満
(5) 25%以上
になるように値を設定しています。
▲それぞれの市区町村の空き家率に基づき、カラーを指定
データ可視化の現状の課題としては、
・ズームの既定値を変更する方法がわからず、特定のズームレベルでしかデータが表示されない
・CSVデータに問題があるのか、データがあるはずなのにコロプレスが反映されない箇所がある
など、まだまだ快適にマップを見るためには課題がありますが、大枠の形は完成させることができました!
「一都三県空き家率マップ」のスタイルURLはこちら
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今後の課題
・全県の市区町村レベルの空き家率をスプレッドシートにまとめて、全国版のマップに発展させる
これを実現するのにはかなりの時間が時間がかかってしまうことになるかと思いますが、焦らず地道にデータを集めていけたらと思います!
・データを集めるだけでなくすべて自分で実装できるようになる
今回の実装作業ですがマップ上に可視化するための空き家率データをまとめるフェーズまでは筆者自身で問題なく作業できましたが、マップ上への落とし込み・UIデザインの部分についてはマップボックスの社員の方に大部分をサポートしていただいたことで完成までたどり着くことができました。
今後はデータを落とし込むコーディングの部分まで身に着けて全工程を自身で作成できるところまで目指して頑張りたいと思います!
最後に
このマップをもとにして空き家率の問題を把握する人が増えれば、何もないよりも空き家の再生や有効活用につながるのではないかと思います。
そして、こうした社会問題の解決方法は様々考えられるかと思いますが、地図の力を活かしたアプローチをすることで小さいながらも自分なりにこの問題の解決につながる貢献ができたのではないかと感じています。今後も地図の力で何ができるのか、探求し続けたいと思います。
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