
日本初!?色覚多様性に配慮したデジタルマップ
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こんにちは!
Mapbox Japanでインターンをしている平澤彰悟と申します。
この記事では、なぜ色覚多様性に配慮したデジタル地図が必要とされているのか、色覚多様性マップを作るためのノウハウを紹介しています!
こんな人に読んで欲しい!
・非エンジニアでも地図を作ってみたい人
・色覚多様性に配慮した地図を作ってみたい人
・色覚多様性って何?どういう色が見づらいのか理解したい人
・色覚多様性を持つ方へ何かしたいと思っている人
上記に当てはまる人はぜひ読んでみてください!
なぜ色覚多様性に配慮した地図が必要なの?
公益社団法人 日本眼科医会 によると、日本人の男性20人に1人,女性の500人に1人が色覚多様性を持つ人だそうです。
この数字を見て驚いた方もいるのではないでしょうか。色覚多様性を持った人って珍しいものではなく、友人の中に1人2人いてもおかしくないくらいのものなんですね。
なぜ、色覚多様性に配慮した地図を作ろうと思ったの?
筆者が友人と遊んでいた時のこと。友人が目的地を調べているときに目を細めたり、スマホを近づけたりしながらGoogle mapを覗き込んでいました。彼がこの行動をしていたのは視力が悪いからではありませんでした。地図に表示されるあらゆる色(道路、地面、山などなど)の差異がつきづらいためでした。
国土地理院 『「ユニバーサルデザイン地図」に関する実態調査』では、国内の紙・デジタルの地図において、色覚多様性を持つ人に配慮しているという地図はまだ少なく、地図に使う配色等のガイドラインの作成をする必要があると述べられています。
・自身の友人との経験
・色覚多様性は珍しいものではないという事実
・色覚多様性を持った人に対応した地図作りがなされていない現状
以上3点がきっかけとなり、自身で色覚多様性に配慮した地図を作ってみようと思いました!
色覚多様性マップに使ったカラーセット
国立遺伝学研究所 岡部 正隆ら (2003) 『ユニバーサルデザインにおける色覚バリアフリーへの提言』で述べられていた、カラーセット(第2色盲)を参考に*Mapbox Studioを用いて地図を作ってみました!
*Mapbox Studioとはローコードで地図が簡単につくれるツールです。
非エンジニアでかつ地図を作りたいという方におすすめです!
『ユニバーサルデザインにおける色覚バリアフリーへの提言』から画像引用
ベースとなる色に青グレー系統を使い、道路に朱色系統の色、木々などの部分を青みの強い緑を使いました。
地図のプレビューはこちら
Mapbox Studioの色覚多様性シミュレーター
実は、Mapbox Studioには色覚多様性を持つ人が、どのような見え方をするのかをシュミレーションできる機能「色覚多様性シミュレーター」があるんです!
この章ではその使い方をお伝えしています!
1. Mapbox Studioの"Settings"をクリック
2. Color blindness simulatorをクリックして、色覚多様性の種類に合わせてクリック
色覚多様性の種類?と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
色覚多様性にも様々な種類があります。種類によって、見えやすい色と見えにくい色が違ってきます。
資料画像:「Mapbox Studioに「色覚多様性シミュレーター」機能を追加」
ちなみに、第2色盲に分類される人が色覚多様性を持つ人のなかで最も多く、全体の75%程であると言われています。
(参考資料:『ユニバーサルデザインにおける色覚バリアフリーへの提言』)
作成の意図
Mapbox Studioの「色覚多様性シミュレーター」で色覚多様性に配慮した地図が作れるのでは?筆者がオリジナルで作った色覚多様性マップって意味あるの?と疑問に思われた方もいるかもしれません。
この回答としては、ツールに依存せず誰もが色覚多様性マップが作れるようにする必要があると思ったからです。
地図作りをする人が全員Mapboxを使うとは限りません。
そういった時に、色覚多様性に配慮した地図を作るには、建物はこの色、森はこの色、道路はこの色・・・。とカラーセットが予め定義されていれば、ツールに依存することなく、誰もが色覚多様性マップを作れると思い、敢えてオリジナルで作ってみました。
もちろんインターン生としてMapboxユーザーを増やすのが仕事であるので、Mapboxを使って地図を使ってくれる人が増えれば増えるだけ嬉しいです笑
インターン生の前に、地図に携わる一人の人間として、地図を通して一人でも住みやすい社会になればいいな!と思い、今回の製作に踏み切った次第です。
今後の課題
1.Mapbox Studio のユーザーを増やしたい
デジタルなマップはエンジニアが作る難しいもの。というイメージは未だ払拭できていないと思います。Mapbox Studioは非エンジニアでも直感的に地図が作れるツールとなっています。
バリアフリーな地図を作りたい!けど技術がない・・・・。と感じている地方自治体やNPOは数多く存在するはずです。
このような方々にMapbox Studioを広めていくことが、色覚多様性マップの認知向上につながると思います
2.多様な色盲に配慮したカラーセットの作成
筆者が作成した地図は第2色盲用の地図となっています。第1色盲や第3色盲にも対応したカラーセットの作成が今後の課題となっています
さいごに
筆者自身、このプロジェクトに取り組むまで色覚多様性という言葉はどこかよそ事のように感じていました。しかし、その人数をみるとよそ事ではなく身近なものであることを実感しました。仲の良い友だちや家族が色覚多様性を持っているということは珍しい話ではない。そう実感できた意味でこのプロジェクトに参加してよかったなと思います。
地図に関わるものとして、この身近なことなのに解決されていない問題に今後も取り組んでいきたいと思います。
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