
外資系企業の翻訳ノウハウ|Mapbox Japan社内報
親会社Mapbox Inc.がアメリカにあるMapbox Japanでは日々、ドキュメントやブログを翻訳しています。翻訳といっても、ただ翻訳ツールにかければそれで完成かというわけではありません。英語ならではの表現や、文化差から生まれる言い回しの違いなど、様々なことを意識して翻訳しなければなりません。
本記事では、外資系企業であるMapboxがどのような手法を用いて翻訳作業を行っているのかをご紹介します。
こんな人に読んでほしい
・現在、翻訳業務に携わっている方
・翻訳家を目指している方
・海外の企業のドキュメントを読んでみたい方
Mapboxが翻訳をする上で意識していることは3つあります。
1. 読者を意識すること
2. スムーズに読める文体にすること
3. 漢字とひらがなの割合は3:7
読者を意識すること
あなたが翻訳した文章を読む人はどのような人ですか? 学生、主婦、エンジニア、営業マン・・・。扱う文章や企業によって、ここは様々だと思います。
読む相手を想像して、相手に合った口調にすることが重要です。主婦層が読む文章なのに、固いビジネス口調であったら読む気は失せてしまいますよね。
企業イメージや読者層を想像して、どういう文体、表現が読みやすいかを考えます。Mapboxは法人のみならずエンジニアといった幅広い読者を想定しており、硬すぎず少しポップな印象を持ってもらえるような文体にしています。
読者を想定する時にもう一つ意識しなければなりません。
それは、どのデバイスでこの文章を読んでくれるのかということです。
スマホ、タブレット、PCなど様々な選択肢があるなかで、これを見極める必要があります。なぜ、考えなくてはいけないのか。それは文章の量に関わってくるからです。
スマホで長い文章を見ようとすると、何度もスクロールが必要になってきます。多くのスクロールを必要とする文章は最後まで読んでもらえません。一方で、PCであれば長い文章でもスクリーンが大きいためスクロールの回数は減っていきます。
読者にストレスをかけない分量はどのくらいなのか。それは読者が使うデバイスに依存します。読者層にエンジニアが多いのであれば、PCから閲覧することが多いかもしれません。一方で若者や学生がターゲットであれば、スマホに適した文章量で書く必要があります。
スムーズに読める文体にすること
英語の文章を訳す時に最も難しい点の一つは形容詞と副詞をどう訳すかです。
interesting(興味深い)、sometimes(ときどき)といった形容詞や副詞をよく見かけませんか。これらを日本語に翻訳すると違和感のある文章になることが多々あります。
すべてがこのケースに当てはまるわけではありませんが、違和感のある文章になってしまった時は、形容詞と副詞を思い切って切り捨てるというのもひとつの方法です。
形容詞や副詞はたいていの場合、削っても意味が通じることが多いです。
形容詞や副詞を削ることにより、文章がスマートになり、違和感のない文章が出来上がります。
厳密に訳すことだけに集中してしまい、違和感のある文章になってしまうと、読み手はストレスを感じてしまいます。
読者がストレスなくスムーズに読んでもらえる文体になるように、時には形容詞と副詞を思い切って切り捨ててみるのもアリだと思います。
漢字とひらがなの割合は3:7
これは翻訳文章のみならず、日本語の文章全般に言えることなのですが、漢字とひらがなの割合を3:7にすることで、読みやすい文章になると言われています。
* このサイトを用いることで、文章のひらがなと漢字の割合がだせるので、参考にしてみてください。
漢字をひらがなにすることを “ひらく”と表現します。
なぜ、漢字をひらく必要があるのか。
それは、音読をしやすくするためです。みなさんは文章を読む時に、頭の中で文章を音読していませんか。漢字ばかりの文章だと、以下のステップで文章を読むことになります。
漢字を見る→音読み or 訓読みに変換する → 頭のなかで音読 → 意味を理解
一方、ひらがなの場合だと
ひらがなをみる → 頭のなかで音読 → 意味を理解
ご覧の通り、ひらがなだと1ステップ少なく文意を理解することができます。
だからといって、ひらがなばかりの文章だと違和感があったり、文節の切れ目がわからなくなってしまいます。
これを鑑みた結果、漢字とひらがなの割合は3:7が適切だと言われています。
漢字をひらくことについて、より深く知りたい方は以下の記事が参考になるので、読んでみてください。
https://note.com/swwwitch/n/n105a095c0687#bwTUk
以上、Mapboxがどのように翻訳作業を行っているのかをご紹介しました。
この記事が少しでも翻訳時の参考になれば幸いです。

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https://www.mapbox.jp/contact